朝がやってきた。
は学校へ行く途中、ある男とすれ違った。
ギラだ。

「やぁ、おはよう。さん」

わざとらしい笑みでの方をみながらギラが言う。
は顔を下に向け、”おはようございます”と暗い口調で言うと
別の道を行こうと曲ろうとした。するとギラがいきなりの腕をつかんだ。

「わっ・・・・・!!」

「そんな道じゃあ遅刻をしてしまうよ。僕と一緒に行こう・・・?」

「い、いえ。ひとりで行けますので・・・。・・・っ!」

ギラはを自分のほうに力ずくでひきつけた。

「綺麗な髪をしているねえ。切ったらどんな感じだろうね・・・。」

の髪を丁寧になでながら言う。

「昨日はお邪魔虫君に邪魔されちゃったけどもう安心だよ・・・・。」

は涙が溢れ出した。

「嫌ーーーーーー!!!」

叫びながらは急いで駆け出した。
ギラも負けずと追いかけてくる。

「どうしたのかなぁ?照れくさがらなくていいんだよぉぉ〜〜〜」

後ろでギラがにやにやしながら言う。
はなんとか学校まで逃げ切った。そして教室へ向かった。
後ろを確認しながら走っていたは前方にいるキルアにぶつかってしまった。

「わ・・・・・っ!」

「・・・・っと。」

キルアは転びそうなを支えた。

「わりぃ!!大丈夫か!?・・・・・あれ?」

は涙を流しながらキルアのほうを見た。

「お前・・・、なに何泣いてんだよ」

キルアが言ったと同時にチャイムがなった。

「君たち・・・。早く教室にはいりなさい・・・。」

ギラが近づいてきた。
キルアはを肩に引き寄せた。

「てめえ、まさかこいつにまたなにかしたんじゃねえだろうな」

「・・・なにを言っているんだい?ほら、教室へ・・・」

「こいつに何かしたらてめえ殺すぜ?」

「そうされる前に君を退学にしてあげよう・・・。」

ギラは静かにつぶやき教室に入っていった。
キルアはにとりあえず何も聞かず、二人で教室に入っていった。
そしてはいつものようにの方へ向かった。

「おはよー!どうしたの?目、赤いよ?」

に顔を近づけながら言う。

「ん〜〜・・・、朝からあくびいっぱいでちゃって・・・」

「はぁ?今日も居眠り授業になりそうなわけね〜〜!!まったく・・・」

は昨日のことと、今日のことをには言わなかった。
心配してほしくなかった。

「私ちょっとトイレ行ってくる!」

「えっ?う、うん。あいかわらずきりかえ早いわねあんた・・・」

にそういうと教室のドアを出た。
すると後ろから歩いてきたギラがすれ違うときにの耳元で囁いた。

「キルア君にばらしたらどうなるかわかってるよね・・・・・?」

そういうと、くすくす笑いながらギラは行ってしまった。
はゾッときてそのままそこにたたずんでいた。

チャイムが鳴った。
を呼びに走ってきた。

「あんたトイレにいったんじゃなかったの?一限目始まるよっ!!」

「あ・・・・・うん」

と教室に入っていった。






                           放課後


「あ〜〜!!今日はやけに一日が長く感じられた〜〜!
嫌いな教科がたくさんあったからかなぁ?」

帰る準備をしているが話しかけた。

「そう?私いつもどおりだった!」

「あんたは寝てるから関係ないでしょうがっ!!」

「・・・はは」

「今日数学なくてよかった〜〜。朝と帰り以外であいつの顔見るの
耐えられないもんねっ!!・・・・?」

ぼーっとしているの顔の前でが手をひらひら動かした。

「あ!!ごめんごめん!!まだ寝たりないみたいだ!!はやく家に帰って寝よーっと♪
行こう!!」

「今日の・・・なんかおかしくない?」

「ぜ、全然おかしくないよ!!」

はあせりながら教室を出た。
門でと別れた後、は重い足取りで歩き出した。

「・・・ここ通るの怖い。」

はそうつぶやきながら前に進む。
すると、電柱のところに誰か立っていた。
は一瞬ビクッとするが、よく見るとキルアが本を片手に寄りかかっていた。

「キルア・・・?」

は呼びかけた。キルアは振り向いてのほうを見る。

「よっ。ほら、帰るぞ」

「え・・・?」

「朝、泣いてたのってギラのせいなんだろ?」

「(”キルア君にばらしたらどうなるかわかってるよね・・・・・?”)
え・・・えっと」

「どうしたんだよ」

「ギ・・・ギラ先生の・・せいじゃ・・・ない・・・けど・・・」

震えながら言うを見てキルアがため息をついた。

「お前、なんか隠してないか?」

「かっ隠してないよ!!何も!!・・・。」

「・・・まぁ、無理して話さなくてもいいけど。悪かったな。」

「ごめん」

「謝んなよ!!お前はなにも悪くないんだからさっ!!」

キルアが笑顔で言う。

「ただ、なにかされたら俺に言えよ」

「うん。ありがとう。」

「・・・さっ!帰るか!!
ところでお前さ〜〜、授業中いっつも寝てるんだな〜〜。大丈夫なのかよ?」

キルアが話を変えてくれた。
だが、はこのままキルアにギラのことを話さないかどうか迷っていた。
しかしそれを表情には見せず笑顔でふるまった。

「へへ、駄目かもしれない!」

「気楽だな〜〜お前」

二人はそんな会話をしながら帰った。
の家に着いて、キルアに別れを告げようとした時、キルアの口が開いた。

「なぁ」

「えっ?」

「負けんなよ」

キルアはそういって、帰っていってしまった。
はまたぼーっとしていた。

「うん。負けない」

はそういうと家に入っていった。






                             次の日





はベッドから起き上がり制服に着替えていた。

「ギラ先生に会ったら堂々と振舞ってやる。
”嫌いです”ってはっきり言わなくちゃ!!だって私の好きな人は」

がそう言いかけた瞬間、窓側の方から寒気を感じた。
は恐る恐る振り返ってみると、そこには、なんと窓に張り付いているギラの姿があった。
片方の手に、使い切った様子のインスタントカメラ、もう片方の手に、今現在録画されている
赤いランプのついたビデオカメラを持ち、口からは唾液を流して不気味に微笑んでいた。

「・・・・・・・!!」

は恐怖のあまり、声も出せない状況にあった。
その表情を楽しむかのように、ギラは中へ入るための入り口を探し始め、見つけたかと思うと、
鍵穴に、なにやら針金のようなものを差込み、一瞬にして、扉は開かれた。
玄関からはドスドスとの部屋に近づいてくる音が聞こえる。

「に・・・逃げなきゃ・・・!!」

は携帯を制服の胸ポケットに入れ、すぐに部屋を出て、階段を駆け上がった。
その後にギラが続く。

「逃げたって無駄なことはわかっているはずだよねえ?」

は息を切らしながら、ベランダに逃げ込んだ。
もちろん、そこに逃げ場があるわけでもない。
そして、ギラも入ってきた。

「捕まえた・・・。逃げる姿もかわいいなぁ〜。ちゃんは。おてんばなんだねぇ〜?」

そう言うと、ギラは静かに近づいてきた。

「こ・・・来ないで!!」

「なにを怖がっているんだい・・・?さぁ、もう安心していいよ・・・。
学校や通路では、あのくそガキに邪魔されるから、二人の時間がなかなかつくれなかったんだよね・・・。
ごめんよ、寂しい思いをさせて・・・。だけどこれからはず〜〜っと、一緒だよ・・・?」

「それ・・・それ以上近づいたら警察よびます!!」

「・・・それって、僕のことが嫌いって言いたいのかな・・・?」

「(負けるなっ言え・・・っ!!)あ・・・あんたなんか大っ嫌い!!」

にそう言われたギラは、急に顔をこわばらせた。

「ほう・・・?じゃあ、僕のことをあのガキにばらさなかったのはなんでだ!?」

「な・・・キルアは関係ないっ!!」

『ばらさなかったのは僕への愛の証ってことだろうがぁっ!!』

ギラは声を張り上げると、ズカズカとの方に近づいてきた。

「来な・・・っっ」

そう言いかけたは、腹部をギラに勢いよく殴られ、気絶してしまった。
気絶したの髪をギラはつかみ上げ、肌に触れた。

「さぁ、ゲームの始まりだよ・・・。お前の王子様は、ちゃんとお前を助けてくれるのかな・・・?」

そう言ってギラは、また不気味に微笑んだ。









                          


                           学校

「みんな・・・。席ついて・・・。」

ギラは皆を席につかせた。

さんは欠席。皆は少しの間自習をしていてください。キルア君。ちょっとこっちにきて話そうか・・・」

ギラはドアを少し開け、廊下を顎でしゃくった。
キルアは、ギラを睨みながら、ゆっくりと立ち上がり、ギラに続いて廊下に出た。

が休みだなんて・・・。・・・キルア君・・・。」

は不安そうに二人の姿を見送った。






                           音楽室

「音楽室というものは、外に音が漏れなくていいな・・・」

が休んだ理由はなんだ?」

平然と話すギラに、既に戦闘体勢のキルアが問いただした。

ちゃんかい・・・?あの子はね、今あるところでおねんねしているよ・・・」

「な・・・っ!てめえ・・・はどこだ・・・?」

キルアはギラの胸倉をつかんだ。
ギラはただ愉快そうに笑っているだけだった。

「言え・・・死にてえか?」

「殺したいかい・・・?どうぞ・・・?そのかわり、一生ちゃんのいる場所がわからなくなるけどねえ・・・」

「・・・・・・っち!」

「君は教師である僕にいろいろな暴言をはいてくれたよねぇ・・・?なあ?”くそガキ”?」

ギラはそう言うとキルアの手をつかんで、黒板のほうに投げつけた。

「・・・がっ・・・・!!」

勢いよく黒板に叩きつけられたキルアは、一瞬倒れたが、すぐに起き上がった。

「・・・っざけやがって・・・!!」

「反撃していいよ・・・?僕、死んじゃうかもしれないけどね・・・。」

ギラは、悔しがっているキルアを見て、笑いながら殴り、蹴り続けた。
1時間はたったであろうか。キルアはもう起き上がれない状態になった。

「おい、ガキ・・・。ちゃんの前ではいいところ見せていたけど、てんでよわっちいな・・・。
反撃しても別にかまわないんだぞ・・・?」

ギラはそう言って、キルアの首をつかみ、締め付けた。

「か・・・は・・・っ」

「お前は出会ったときから気に入らなかった・・・。僕達の愛の輪を、散々壊そうとしやがって・・・」

ギラの手に、力がこもった。

「ぐ・・・・・あ」

「何が”こいつに何かしたらてめえ殺すぜ?”だ?所詮、お前みたいなガキには何もできやしないんだよ」

「・・・・・くっ・・・!」

「それなら、僕を殺して、ちゃんを見つけ出してみろよ。あぁ?こら・・・」

「・・う・・・あ・・・・・」

「・・・ん?これは、ちゃんのものと同じミサンガ・・・。」

ギラはキルアの腕についてある、ミサンガを手に取った。

「これをどこで手に入れた・・・?」

「・・・へっ・・・。・・・が・・・つけ・・て・・・くれたんだよ・・・」

ちゃんが、お前にか・・・?」

・・・が・・てめえに・・つけないってこと・・・は・・相当・・・嫌われてんじゃ・・・・っう!」

「黙れ」

「・・・っは・・・」

キルアの意識が薄れているとき、いきなり音楽室のドアが開いた。
開けたのはだった。

「あっ。ここでしたか。先生・・・キルア君との話終わりましたか・・・・・きゃーーーーーーーーっ!!!」

は首を締め付けられ、床に押さえつけられているキルアを見て、悲鳴をあげた。

「嫌ーーー!!キルア君!大丈夫っ!!?」

はキルアに近づいた。

「ば・・・逃げろ・・・!!」

「ギラ先生!?なにやってるの!?死んじゃうじゃない!!」

はギラの手をどけようとした。
ギラは、の制服をつかんで、壁にたたきつけた。
は、気を失ってしまった。
すると、ギラの矛先が、に向いた。

「この馬鹿が・・・。もう少しでこいつを殺せたのに、お前のせいで・・・」

キルアは、せきをしながら、呼吸を整えようとしたが、今はそんな暇はない。

「やめろっ・・・!そいつは・・・関係ないだろ・・・っ」


「どうしたーーー!?」

「なにかあったのーーー!?」

いきなり、廊下のほうから、教師達の声が聞こえた。
の悲鳴を聞いて、とんできたらしい。

「ちぃ・・・っ!」

ギラは急いで音楽室から出て行った。
それと同時に、音楽室の奥のもう1つのドアが開き、教師達が入ってきた。

「!?どうしたっ!!大丈夫か!?」

「先生・・・。俺は大丈夫ッスから、こっちの方、診てやってください。」

キルアはそう言うと、の方を指差した。

「あ・・・あぁ!だが、キルア君!君も怪我を・・・!!」

「平気ッス・・・」

キルアはそう言って、を担いだ教師が出て行くのを見送りながら一人音楽室に残った。















                「っ痛・・・。・・・・くそっ・・・。・・・・・・・・!」











------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
いや〜〜ん。ギラ怖〜〜い。
私としてはもちろんキルアに勝ってほしかったけど、
人質になっている様の為にぐっと耐えるってのもいいかと思って・・・。

次回は、キルアが様救出に向かいます。
さて、どうやって探すのやら・・・。方法は意外とシンプル・・・。
じっくりと今回の話を読めば分かるはず。









SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送